「ああ、今月は自動車税で、来月は車検か…。ということは、車の保険の更新もある!これじゃ、車を維持するために働いているようなものだな」
「うちって車2台あるけど、1台ほとんど使ってないよね。いらなくない?」と妻に言われたけど、どうしてもこの車には愛着があって、手放す気になれない。
車は、私たちの生活において、単純な移動手段を超えた存在です。車を手放そうかなと思う瞬間があっても、なかなか踏み切れないものですよね。
でも、そんな車を思い切って手放したら、あなたの人生にどんな変化をもたらすでしょうか。
この記事では、実際に愛車を手放して新しいライフスタイルを手に入れた私の体験をもとに、車を手放すことの不安感の整理と解消方法、車を手放すことで得られる4つの新習慣を詳しくお伝えします。
記事を読み終えた頃には、車のない生活が生まれるメリットを実感し、次の一歩を踏み出す勇気が湧いてきます。 新しいライフスタイルへの扉が開ければ、あなたの人生もきっと大きく変わるはずです。
UnsplashのMarina Lisovaさんが撮影した写真を使わせていただきました。
1. 愛車の故障が、人生の転機になるとは
「なんだ、これは…?」
車に近づいた瞬間、異様な光景が目に飛び込んできた。愛車のBMW X5の後ろタイヤが、タイヤハウスに完全にめり込んでいる。
リアのエアサスがまるで命を失ったかのようにペシャンコになり、車体全体が不自然に後ろへ沈み込んでいた。
「シャコタン…?」
一瞬、自分の目を疑った。だが、どう見ても車高が極端に下がり、バランスが完全に崩れている。
急いで車内に乗り込み、エンジンをかけたが、車体は微動だにせず、不安だけが胸にこみ上げてきた。
そのまま、いつもお世話になっている修理工場に車を運び込むしかなかった。
ガタガタと不快な音を響かせながら工場までたどり着き、無理を言ってその場で見てもらったが、工場のスタッフは渋い顔をして首を横に振る。
「どうやらコンピューターがうまく起動していないようですね。正規ディーラーに持って行って、コンピューターの交換と調整が必要です」
ショックを隠しきれなかった。
さらに追い打ちをかけるかのように、修理にかかる期間は1ヶ月、しかも代車も用意できないという。
「え、1ヶ月も…?しかも代車なしで…?」
通勤に使っている車が突然1ヶ月も使えなくなる。
頭の中で様々な不安が一気に膨れ上がっていくのがわかった。
2. 過去の経験と不安の積み重ね
実は、この手のトラブルはこれが初めてではない。
1年前、家族4人でディズニーランドに向かっていた時のことだ。
高速道路を走っている最中、突然車内に異音が響いた。
エンジンからかすかな金属音が混じり、徐々に大きくなっていく。
「まさか…」と思いながらも、高速を降りて最寄りのサービスエリアに入った。
そしてエンジンを止めた瞬間、異音は途絶えた。
恐る恐る再びエンジンをかけてみるが、異音は変わらない。
家族を心配させないよう平静を装っていたが、内心はパニックだった。
家族旅行の初日の朝に、車がこんな状況になるとは思いもしなかった。
やむを得ず、そのまま舞浜のBMWディーラーへ駆け込んだ。
その時は幸運にも、ディーラーの迅速な対応で代車を手配してもらい、ディズニーランドを無事に楽しむことができた。
しかし、車はその後しばらく舞浜に置いておくことになり、修理が終わるまで新幹線で取りに行く羽目になった。
楽しい旅行の裏で、車のトラブルが常に影を落としていた。
「またか…」という思いが頭をよぎった。
1年に一度突発的に発生する故障。修理費、手間、時間。
そして何より、家族旅行の途中で車が使えなくなるというストレス。
その時はまだ、「車を持つ」ということのリスクを真剣に考えなかったが、確実に心の中で不安が積み重なっていた。
3. 車を手放す決意
その不安は、ついに今回の故障でピークに達した。
車を所有していることで、いつも感じていた「安心感」ではなく、むしろ「不安」こそが積み上がっていることに気づいた瞬間だった。
高級感や走行性能に惹かれて、BMW X5を選んだ時の興奮。愛車に乗るたびに感じていたあのワクワク感。
しかし、それが今はまるで逆転し、車に乗るたびに「また何か壊れるんじゃないか?」という不安が頭をよぎる。
そんな中、ふと頭に浮かんだのは、
「こいつ、X5には十分すぎるほど楽しませてもらったし…もう、いいかな…」
という思いだった。
それは驚くほど自然な感情だった。
そう思った瞬間、胸の中で何かがフッと溶けてなくなったような感覚を覚えた。
長い間感じていた不安や重圧が一気に軽くなり、解放感に包まれた。
「51歳、車を卒業するか」
自分の中での納得が、少しずつ確信に変わっていった。
4. 不安の整理と解消
「51歳、車を卒業するか」と、車を手放すと決めた瞬間、驚くほど心が軽くなったのを覚えています。
しかし、それと同時に頭の中には次々と不安が浮かんできました。
そこで、自分自身に問いかけるように、その不安を一つずつ整理してみることにしました。
4-1. 通勤手段はどうする?
まず最初に浮かんだのが、「通勤手段どうしよう?」ということでした。
これまで毎日当たり前のようにBMW X5で通勤していたため、車がなくなると一番影響を受けるのは通勤だと思いました。
ですが、冷静になって考えてみると、私の通勤距離はたった2キロメートル。
これなら、むしろ自転車や徒歩の方が健康にも良いし、コストもかからない。
さっそく、自転車と徒歩という選択肢を真剣に考え始めました。
自転車であれば10分程度で会社に着く。雨の日でもカバー付きの自転車があれば、問題なく通勤できるだろう。
徒歩であれば、20分少々だが、日々の運動としては最適だ。実際、車に乗っているときよりも気分がリフレッシュでき、身体も軽く感じられるだろう。
「むしろ、これって健康的じゃないか?」
とすぐにポジティブに考えることができたのでした。
4-2. 家族にとって不便にならないか?
次に浮かんだのは、「家族にとって不便にならないか?」という心配でした。
我が家にはもう一台、妻が乗るN-Boxがあります。
しかし、今までは2台の車があることが当たり前だったため、急に1台になると不便に感じるかもしれないと思いました。
しかし、実際に生活をシミュレーションしてみると、それほど大きな問題ではないことに気づいたのです。
ほとんどの日常の移動は近場で済むし、家族で出かけるときもN-Boxで十分に役割を果たしてくれます。
「2台持ちが当たり前」と思い込んでいましたが、実はそれは単なる慣れであり、本当に必要かどうかは別の話だと気づいたのです。
4-3. 遠出はどうする?
次に気になったのは、「N-Boxでは遠出が心配」ということでした。
遠出や家族旅行を考えると、N-Boxのような軽自動車では少し頼りない気がしていました。
しかし、よく考えれば、長距離の旅行は年に数回しかありません。
レンタカーを使えば十分に対応できるし、車の維持費を節約できる分、その費用を旅行に充てることができます。
むしろ、レンタカーを使うことで、その時々の目的に合わせて車を選べるという利点さえあります。更には新幹線とレンタカーなど、今までは考えもしなかった選択肢が増え、旅行の自由度が増したことに気づかされました。
4-4. 愛車がない不安
そして最大の不安は、「愛車がない」という感覚でした。
自分の愛車がないことで、まるで自分の一部がなくなったような気持ちになるのではないかという心配がありました。ですが、それもまた冷静に考えてみると、車を持っていること自体が常に不安の原因になっていたことに気づいたのです。
維持費、修理費、突発的な故障…。
所有することで抱えていた不安と、手放すことで感じる不安が打ち消し合い、むしろ手放すことの方が心の安定をもたらすのではないかと思うようになりました。
「車を持っていないと自分の一部がなくなる」という感覚は、単なる思い込みだったのだと理解できた瞬間、心がフッと軽くなったのでした。
4-5. 妻の反応
最後に気になったのは、「妻にどう説明するか?」ということでした。
これまで外車にこだわっていた私に、妻は何度も「だから外車なんてやめれば良かったのに」と言っていました。
しかし、今回の決断は自分の中でしっかり納得していたし、妻に説明する際も、自分の気持ちがブレることはありませんでした。
むしろ、妻も家計の節約や、生活全般の整理ができることを歓迎し、
「あなたがそう決めたなら、私も賛成よ」
と言ってくれたのでした。
N-Boxを残し、BMW X5を手放すことで、生活全体がシンプルで効率的になるという考えに二人で共感できた瞬間でした。
5. 車を手放すことで得られる4つの新習慣
車を手放すことは、当初不安と抵抗感が伴う決断でした。
しかし、実際に車を手放してみると、それ以上に得られたものは大きく、生活全般においてポジティブな変化が広がっていきました。
車を所有することに縛られていた日常が、よりシンプルで柔軟になり、自由なライフスタイルを実現するきっかけとなったのです。
5-1. 新習慣1:自転車と徒歩で広がる新しい日常
車を手放すことの最も大きな変化は、移動手段が自転車と徒歩に変わったことです。
これまで車に依存していた移動が、自転車や徒歩を通じて自然と新しい楽しみに変わりました。
風を感じながら自転車で移動したり、徒歩で街を散策することで、今まで気づかなかった景色や季節の移ろいを感じることができるようになったのです。
さらに、これらの移動手段は健康にも良い影響を与えています。日々の運動量が増え、体力の向上や心のリフレッシュが自然と得られるようになりました。
車に乗っていた時と比べ、身体的にも精神的にもより軽やかでアクティブな生活が送れるようになっています。
5-2. 新習慣2:節約とシンプルな生活
車を手放すことで、経済的にも大きなメリットが生まれました。
車の維持費、保険料、ガソリン代といった固定費が一気に削減され、その分の資金を家族旅行や趣味にまわす計画です。
また、無駄な支出が減り、生活全体がシンプルになったように感じます。
車の維持管理から解放され、経済的にも精神的にも負担が軽くなったことで、生活において必要なものにだけフォーカスする余裕が生まれたのです。
5-3. 新習慣3:仕事とライフスタイルの再構築
車を手放すことで、私の仕事に対する考え方にも大きな変化が生まれました。
これまでは、無理をしてでも車を持つことが当たり前だと思っていました。
しかし、車の維持にかけていた時間やリソースがなくなり、結果として仕事の効率やパフォーマンスが向上したのです。
加えて、新しい副業やキャリアの可能性にも目を向け始めました。
以前は「車を持たなければならない」という固定観念が仕事の選択肢を狭めていましたが、その枠を取り払うことで、新しい挑戦にも柔軟に対応できる余裕が生まれました。
車は必要になれば再度所有すればよいという選択肢を得たことで、今後の仕事や生活においてより自由な選択ができるようになったのです。
5-4. 新習慣4:自然とのふれあいとアウトドアの楽しみ
車を手放すことによって、自宅での時間が増え、庭づくりや野菜栽培といった自然とふれあう活動が日常の一部となりました。
自宅の庭での野菜栽培は、小さなスペースながらも季節ごとの収穫の喜びをもたらし、家族との楽しい時間を増やしてくれています。
また、キャンプやピクニックなどのアウトドア活動も、車なしライフの中で一工夫するようになりました。
今までは遠くのキャンプ場まで車で行っていたところを、自宅の庭でテントを張り、たき火やBBQをすることが増えました。
時間にせかされることなく、自然を楽しみながらも無駄のないシンプルな生活を実現しています。
6. 車を手放すことで手に入れたもの
車を手放すという大きな決断は、単なる「車を持たない選択」ではなく、私の生活全体にわたる再構築のきっかけとなりました。
移動手段の変化、仕事や経済的な視野の広がり、自然とのふれあいを通じた豊かな時間の確保――これらすべてが、車を手放したことで得られた新たな充実感です。
車なしライフは、自由で柔軟な生活のスタート地点であり、これからも私の生活を豊かにし続けるだろうと確信しています。
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